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試合中に「今のって反則?」「次、誰のサーブ?」と手が止まったこと、ありませんか。ピックルボールのルールは覚えることじたいは多くありませんが、細部を知らないと必ずコートで迷います。
この記事は、ピックルボール日本連盟の公式ルールと、USA Pickleball 2026年版公式ルールブックの両方をもとに、必要なルールを1ページにすべて収めた「ルール事典」です。読み通してもいいですし、迷ったときに該当の章だけ開いてもかまいません。コートで揉めやすい細かい14の場面も、条文つきで答えを載せました。
この記事でわかること
・コート・ネット・道具の正確な規格
・サーブの2つの打ち方と、フォルトになる条件のすべて
・サーブの順番・立ち位置・スコアの数え方
・ツーバウンドルールとノンボレーゾーンの正しい理解
・イン・アウトの判定と、フォルト全12種の一覧
・「ポストに当たったら?」「帽子が落ちたら?」など、揉めやすい14の場面の答え
・2026年に変わったルールと、日本の大会での扱い
第1章|コートと道具の規格
ルールの話の前に、コートの各部分の名前を押さえておきます。ここが分かっていないと、この先の説明がすべて曖昧になります。
コートの広さはバドミントンのダブルスコートと同じ
コートの大きさは13.41m × 6.10m(44フィート × 20フィート)。バドミントンのダブルスコートとまったく同じ広さです。シングルスもダブルスも、同じ広さのコートで同じルールを使います。テニスのようにシングルスで狭くなることはありません。
ただし中に引かれている線の位置はバドミントンと違います。体育館で兼用する場合は、どの線がピックルボールの線かを最初に確認してください。下の図の色がついた部分はタップできます。
🏟️ コートの各部分の名前
色がついた部分をタップして確認
それぞれの場所の名前と役割が表示されます。まずは真ん中の「ノンボレーゾーン」から押してみてください。
ネットの高さは、中央と両端で違う
ネットは中央が86.3cm(34インチ)、両端が91.4cm(36インチ)。中央が5cmほど低くなっています。まっすぐな1本の線ではなく、真ん中がわずかに垂れ下がった形が正しい張り方です。
この5cmの差があるおかげで、コートの真ん中を通したほうがネットを越えやすいという設計になっています。初心者のうちは、迷ったら真ん中を狙うのが理にかなっているわけです。
ラインの名前と役割
| ラインの名前 | 場所 | 役割 |
|---|---|---|
| ベースライン | いちばん後ろの横線 | サーブはこの線の後ろから打つ |
| サイドライン | 左右の縦線 | コートの左右の端 |
| センターライン | サービスコートを左右に分ける線 | 右・左どちらのサービスコートかを決める |
| ノンボレーライン | ネットから2.13m後ろの横線 | この線とネットの間がノンボレーゾーン(キッチン) |
※ノンボレーラインは「キッチンライン」とも呼ばれます。この記事では公式の呼び方に合わせて「ノンボレーライン」と書きます。
道具はパドルとボールの2つだけ
| 道具 | 特徴 | 選ぶときのポイント |
|---|---|---|
| パドル | 卓球のラケットを一回り大きくした板状のラケット。ガットは張られていない | 重さで打ち味が大きく変わる。最初はレンタルで数回打ってから買うのがおすすめ |
| ボール | 穴のあいたプラスチック製。屋内用と屋外用で穴の数と硬さが違う | 屋内用は穴が大きく数が少ない。屋外用は穴が小さく多く、風に強い代わりに硬め |
服装と靴に競技上の細かい決まりはほとんどありませんが、公式ルールブックには2つだけ書かれています(→ 第9章のQ11でくわしく)。
第2章|試合の始め方と勝ち方
どちらが先にサーブする?
じゃんけんかコイントスで決めます。勝った側は「サーブを打つ」か「好きなサイドを選ぶ」かのどちらかを選べます。サイドを選んだ場合、自分たちはレシーブ側からのスタートになります。
試合形式によっては、審判があらかじめ決めておいた2つの数字のどちらかを選ぶ方法が使われることもあります。
※上は日本連盟のページに沿った説明です。USA Pickleball 2026年版(17.C.4)では、勝った側の選択肢は「サーブする」「レシーブする」「エンドを選ぶ」「相手に先に選ばせる」の4つ。エンドを選んだ場合は残りの選択権が相手に移るため、必ずしもレシーブ側になるとは限りません。
何点取れば勝ちか
勝敗の決め方
・1ゲームは11点先取。ただし2点差がつくまで終わりません(10-10になったら12-10、13-11…と続く)
・大会によっては15点先取・21点先取のこともあります。その場合も「2点差」は同じ
・3ゲームマッチなら、2ゲーム先取したほうが勝ち
・得点できるのはサーブ権を持っている側だけ。レシーブ側がラリーに勝っても点は入らず、サーブ権が動くだけです
テニス・バドミントン経験者がつまずくところ
バドミントンやバレーボールは「ラリーに勝った側に必ず点が入る」ラリーポイント制です。ピックルボールは違います。レシーブ側がどれだけラリーを取っても、0点のままサーブ権を奪い返すだけ。この仕組みを「サイドアウト制」と呼びます。だから試合が長引きやすく、逆転もしやすいのです。
第3章|サーブのルール【完全版】
ピックルボールでいちばんルールが細かいのがサーブです。打ち方は2種類あり、どちらを使ってもかまいません。ゲームの途中で切り替えるのも自由です。
打ち方①ボレーサーブ|守るべき3つの条件
ボールを手から離し、地面につく前に打つ従来のサーブです。インパクトの瞬間に、次の3つをすべて同時に満たしていなければフォルトになります。
ボレーサーブの3条件(2026年版ルール 7.C)
・①打点が腰(へそ)より下にあること
・②パドルヘッドのいちばん高い点が、手首の関節のいちばん高い部分より上にないこと
・③パドルが下から上への軌道で動いていること
※フォアハンド・バックハンドのどちらで打ってもかまいません。
いちばん多い誤解
「手首さえ腰より下にあればOK」だと思っている人が多いのですが、違います。手首が腰より下にあっても、パドルのヘッドが手首より高い位置にあればフォルトです。手首を折ってパドルを立てて打つクセがある人は要注意。
2026年の変更|3条件すべてに「明らかに」が入った
2026年版のルールブックでは、この3つの条件すべてに clearly(明らかに) という語が追加されました。「明らかに腰より下」「明らかに手首より上でない」「明らかに下から上への軌道」という書き方になっています。
USA Pickleballはこの変更の理由を「より強力で、執行しやすいルールにするため」と説明しています。厳しくなったと読むのが正しい方向です。
審判のいる試合で、きわどくて判断がつかない場合は、フォルトではなくやり直しになります。
打ち方②ドロップサーブ|2021年に導入された打ちやすいサーブ
手のひらを下に向けてボールを落とし、地面にバウンドさせてから打つサーブです。障害のある方や初心者でも打ちやすいように導入されました。
ドロップサーブのルール
・打点の高さに規制はありません。腰より上で打っても、パドルヘッドが手首より上でもOK
・ボールは落とすだけ。地面に叩きつけるのも、上に投げ上げるのも禁止です
・バウンドの回数と場所に制限はありません
・どちらかの足が地面についていること
・ボールはコート内にバウンドさせてもかまいませんが、足はコートの外にあること
どちらを使ってもいい
ボレーサーブとドロップサーブは、ゲームの途中で自由に切り替えられます。「1本目はドロップ、2本目はボレー」でも問題ありません。判定でもめるのが嫌なら、ドロップサーブに統一してしまうのもひとつの手です。
足はどこに置く?
打つ瞬間、少なくとも片方の足がベースラインの後ろの地面についていること。そして両足とも、ベースラインを踏んだりコートの中に入ったりしていないことが条件です。
左右の位置は、センターラインの延長線とサイドラインの延長線のあいだ。打ち終わってから前に出るのは自由です。
どこに入れる?
サーブを入れる場所
・対角線上のサービスコートへ。自分が右に立っているなら相手の右側(自分から見て対角)
・相手のノンボレーラインを越えること
・ノンボレーラインの上に落ちたらフォルト(ショート扱い)。これはサーブだけの特別ルールです
・ノンボレーライン以外の線(センターライン・サイドライン・ベースライン)は、ボールが少しでも線にかかっていればセーフ。線もサービスコートの一部だと考えてください
サーブは1回だけ。ネットに当たっても続行
テニスと違ってセカンドサーブはありません。1回で入らなければフォルトです。
そしてサーブがネットに触れてから正しいサービスコートに入った場合、そのままプレー続行です。2021年のルール改正で「レット(やり直し)」が廃止されました。ネットに当たったかどうかの判定が難しく、意見が分かれやすかったためです。
サーブにスピンをかけていい?
かけていい場合と、いけない場合がある
・⭕ パドルが当たる瞬間にスピンをかけるのは自由です
・❌ ボールを離すときに、手や指でスピンをかけるのは禁止です
・❌ 上から振り下ろしてスライスをかける打ち方も禁止です。打点が腰より低くても、パドルが下から上へ動いていなければフォルト。「低いところで打っているからセーフ」ではありません
リリースは片手のみ、またはパドルのみで行い、自然に落とすこと。相手がリリース時のスピンに気づいた場合、リターンを打つ前であればやり直しを求められます。
第4章|サーブの順番と立ち位置
ダブルスのサーブ順
サーブ権はこう動く
・試合はコートの右サイドにいる人から始めます
・ラリーに勝つと1点入り、同じ人が左右を入れ替えて続けて打ちます
・ミスをしたら、サーブ権は味方のもう1人(第2サーバー)へ。このとき2人は左右を入れ替えません。今いる場所のまま、もう1人が自分の位置から打ちます
・2人ともミスをしたら、相手チームにサーブ権が移ります(サイドアウト)
・ただし試合開始時だけは、1人分のサーブ権しかもらえません。先攻が有利になりすぎないための特別ルールです
この「開始時だけ1人分」があるため、最初のコールは「0-0-2」(ゼロ・ゼロ・ツー)。いきなり第2サーバー扱いで始まります。
図解|サーブ権(ダブルス)
得点なら同じ人が続行、ミスなら次へ。2人ともミスでサイドアウト
例外は試合開始のターンだけ。最初のチームは第2サーバー扱いの1人でスタートするため、その人がミスするとすぐサイドアウトになります(だから「0-0-2」)。
スコアは3つの数字でコールする
サーブを打つ前に、「自分たちの点・相手の点・自分が何番目のサーバーか」の3つを声に出します。3つ目の数字は1か2しかありません。
コールを完全に言い終えてから打つのが決まりで、コールの途中で打つとフォルトです。また、コールし終えてから10秒以内に打つ必要があります。
コールの例|「フォー・ツー・ワン」
自分たちが4点、相手が2点、いま打つのは1人目のサーバー、という意味です。
レシーブ側の立ち位置|受ける人は決まっている
サーブを受けるのは、対角線上にいる1人だけ。その人以外が触ったらフォルトになります。
レシーブ側のルール
・受ける人は、サーバーから見て対角線上にいる1人だけ。誰が受けるかは相手のスコアで自動的に決まるので、「次は自分が受ける」と2人で相談して替わることはできません
・バウンド前にレシーバーのパートナーがボールに触れたらレシーブ側のフォルトです
・受けない側のパートナーは、コート内のどこに立ってもかまいません。多くの人はノンボレーラインのすぐ後ろで構えます
・レシーブ側は左右を入れ替えません。入れ替わるのはサーブ側だけ、しかも得点したときだけです
・サーブ権が相手から自分たちに移ってきたときも、その時点で立っている場所のままスタートします。並び直す必要はありません
まとめると、動くのはサーブ側だけ
・サーブ側が得点した→ 同じ人が続けて打つ。2人が左右を入れ替える
・サーブ側がミスした→ 第2サーバーに交代。入れ替えない
・サイドアウトした→ 相手にサーブ権が移る。どちらのチームも入れ替えない
つまり左右が入れ替わるのは「サーブ側が点を取ったとき」だけです。これさえ覚えておけば、試合中に立ち位置で迷いません。
レシーバーの準備ができていないときは
サーバーは、レシーバーとパートナーが定位置につき、全員の準備が整ってからスコアをコールします。準備ができていないのに打たれた場合は、その場で伝えてやり直しましょう。逆に、コールが終わってから10秒以内に打たないとサーバーのフォルトになるので、だらだら待たせるのもルール違反です。
シングルスの場合
数字は2つだけ(自分の点・相手の点)。立ち位置は自分の点が0または偶数なら右、奇数なら左から打ちます。
第5章|ツーバウンドルール
ピックルボールを象徴するルールです。サーブとリターンは、必ず1回バウンドさせてから打たなければなりません。
3球目からノーバウンドOK
・1球目(サーブ)→ レシーブ側はバウンドさせてから返す
・2球目(リターン)→ サーブ側もバウンドさせてから返す
・3球目から → ノーバウンドで打ってよい(ノンボレーゾーンの外なら)
なぜこのルールがあるのか。テニスのようにサーブを打ってすぐ前に出る「サーブ&ボレー」を封じるためです。これがないとサーブ側が一方的に有利になり、ラリーが続きません。
🎬 2バウンドルールを動きで見る
再生ボタンでボールの動きを確認
「サーブ→ワンバウンド→リターン→ワンバウンド→そこから自由」の流れを、ボールの動きで確認できます。1打ずつ進めたいときは「次の1打」を。
テニス経験者がいちばん体で覚え直すところ
サーブを打った後、つい前に詰めてしまうのがテニス経験者の定番の失敗です。サーブを打ったら、その場で1回待つ。リターンがバウンドするのを見てから前に出る。この間の取り方が身につくまで数回かかります。
第6章|ノンボレーゾーン(キッチン)
ネットの両側2.13m(7フィート)の区画をノンボレーゾーン、通称「キッチン」と呼びます。初心者がいちばん誤解する場所です。
大前提|「入ってはいけない場所」ではない
禁止されているのは「ボレー」(ノーバウンドで打つこと)だけです。ただ立つ、歩く、バウンドしたボールを中で打つ——これらはすべて問題ありません。スマッシュを至近距離で打ち込まれてケガをしないための区画であって、立入禁止区域ではないのです。
フォルトになる場面・ならない場面
| 場面 | 判定 |
|---|---|
| ゾーン内に立ったままボレーする | ❌ フォルト |
| ノンボレーラインを踏んでボレーする | ❌ フォルト |
| 外でボレーしたあと、勢いでゾーンに入る・触れる | ❌ フォルト |
| ボレー時、帽子やサングラスがゾーンに落ちる | ❌ フォルト |
| ボレー時、パドルがゾーンの地面に触れる | ❌ フォルト |
| 相手のボールがアウトになったが、ボレーの勢いでゾーンに入った | ❌ フォルト |
| ワンバウンドしたボールをゾーンの中で打つ | ⭕ OK |
| ゾーンの中をただ歩く・立っている | ⭕ OK |
| ボレーの勢いが完全に止まってから、あらためてゾーンに入る | ⭕ OK |
ポイントは「ボレーという一連の動作のあいだ」で判定されるということ。打った瞬間だけでなく、その勢いが収まるまでが対象です。
第7章|イン・アウトの判定
ラインに触れていればイン
ピックルボールではボールがラインに少しでも触れていればイン(セーフ)です。「触れている」とは、ボールが接地した部分がラインに接していること。接している部分がラインの外側にあればアウトになります。
上から見て「ボールがラインに重なっているか」ではなく、「地面に接している面がラインにかかっているか」で判断します。ここを勘違いすると、ぎりぎりの球でもめます。
サーブだけは例外
サーブは相手のノンボレーラインを越えなければなりません。ノンボレーライン上に落ちた場合はショート=フォルトです。ネットに触れてから落ちた場合も、ライン上ならフォルト。他のライン(センター・サイド・ベース)は触れていればセーフなので、混同しないよう注意してください。
誰が判定する?
セルフジャッジの原則
・審判のいない試合では、自分のコートに落ちたボールは自分たちが判定します
・はっきり見えなかったらイン。疑わしいときは相手に有利に取るのが原則です
・ペアの2人で判定が割れた場合もインとして扱います
・アウトのコールは速やかに。返球してしまった場合は、相手が打つ前かボールがデッドになる前にコールしないと、プレーはそのまま続きます
・判定を観客に聞くのは禁止です(2026年版で「してはならない」と義務化されました)
第8章|よくあるフォルト(反則)12パターン
ルールに反する行為はすべてフォルトです。フォルトが宣言された時点でプレーは止まります。下の項目をタップすると、それぞれ「なぜダメか」「どうなるか」が開きます。
※ルールブック上のフォルトはこれ以外にもあります(サーブのフットフォルト、キャッチ・キャリー、ネットの下を通す、コール中のサーブなど)。ここでは実際のコートで起きやすい12パターンを選びました。
よくあるフォルト12パターン
タップすると「なぜダメか」「どうなるか」が開きます。
フォルトを取られると、どうなる?
どちらがフォルトしたかで結果が変わります。ここを間違えると、スコアが合わなくなります。
| フォルトした側 | 結果 |
|---|---|
| レシーブ側 | サーブ側に1点が入る |
| サーブ側 | 点は動かない。サーバーが交代(第1→第2)するか、2人目なら相手にサーブ権が移る(サイドアウト) |
※レシーブ側はフォルトを取られても失点しません。「点を取られる」のではなく「相手に点が入る」という向きの違いです。
第9章|コートで揉めやすい細かいルール14問
基本ルールは覚えたのに、実際のコートで「え、今のどうなるの?」と全員の手が止まる場面。気になる質問をタップすると答えが開きます。
Q1|返球する前に、ボールが自分の体に当たった
当たった側のフォルトです。ただし1か所だけ例外があります。
・⭕ セーフ|パドルを握っている手の、手首の関節より先(指・手のひら・手の甲)に当たった場合。そのままプレー続行
・❌ フォルト|前腕・肘・肩から上、胴体、脚、頭。パドルを持っていないほうの手も含む
・❌ フォルト|着ている服、帽子、サングラスなど身につけているもの
手首から先でも、パドルを握っていなければアウトです(2026年版 10.C.3)。
Q2|パドルを両手で持ってもいい? 持ち替えは?
・両手持ちOK。片手でも両手でもかまいません
・持ち替えもいつでもOK。ラリー中に左右を持ち替えるのは自由です
・ただし打つ瞬間にパドルを保持していなければフォルト。打った直後に手放すのは問題ありません
・パドルは1本だけ。予備をポケットに入れてプレーするのも禁止です
2026年版 12.A・12.B。判断基準は「インパクトの瞬間に持っていたか」の一点です。
Q3|ボールがネットのポスト(支柱)に当たった
原則として、打った側のフォルトです。ネットの布に当たるのとは扱いが正反対なので注意してください。
| 状況 | 判定 |
|---|---|
| サーブが、自分側でも相手側でもポストに当たった | サーバーのフォルト |
| ラリー中、ネットを越える前に自分側のポストに当たった | 打った人のフォルト |
| ネットを越えたあと、バウンド前に相手側のポストに当たった | 打った人のフォルト |
| 相手コートにバウンドしたあと、ポストに当たった | 打った側のポイント |
最後のケースは2026年版で整理された部分です。強い回転や風で戻ってきたボールがポストに当たった場合、返せなかった側のフォルトになります(10.C.5)。
Q4|ポストの外側を回り込んで返すのは?(ATP)
有効です。「アラウンド・ザ・ポスト(ATP)」と呼ばれる、ピックルボールの見せ場のひとつ。
・ネットより低い高さで通してもOK。地面すれすれでもかまいません
・ネットの上を越えて戻る必要もありません
・ただし❌ ネットとポストのあいだを通すのはフォルト。ここが境目です
2026年版 13.C。打ったあとに体がネットの延長面を越えて回り込むのも許されますが、相手コートの地面やネットに触れたらフォルトです。
Q5|ネットの下をくぐらせて返した
フォルトです。ネットの下を通すことも、ネットとポストのあいだを通すこともできません(13.E・13.D)。
例外が1つだけあります。強いバックスピンや風で、自分のコートにバウンドしたボールが打たれないまま相手側に戻っていく場合、選手はネットの上・下・外側を通って追いかけて打つことが許されます。これは「選手が通れる」話であって、打球をネットの下に通していいという意味ではありません。
Q6|打ったあと、パドルや手がネットを越えた
打った直後のフォロースルーで越えるのはOKです。ただし条件があります。
・❌ 打つ前にネット面を越えたらフォルト
・❌ 越えたのにボールを打たなかったらフォルト
・❌ ネットやポストに体・服・パドルが触れたらフォルト(ボールがまだ生きているあいだ)
・❌ 相手や相手コートに触れたらフォルト
2026年版 13.G〜13.I。ハイボレーの振り抜きでパドルが相手側にはみ出すのは問題ありません。髪の毛やシャツがネットに触れた瞬間にアウト、と覚えてください。
Q7|ボールが割れた・欠けた
ラリーは最後まで続けます。途中で止めてはいけません。処理はラリーが終わってから。
・割れた・ひびが入った場合|「その破損がラリーの結果に影響した」と全員が合意すればやり直し。合意しなければ結果はそのまま
・柔らかくなった・へたっただけの場合|やり直しはありません。ボールの交換は全員が合意すれば可能ですが、直前のラリーの結果は動きません
2026年版 10.G。「割れた」と「へたった」で扱いが違うのがポイントです。
Q8|スコアコールを間違えた・言い忘れた
この記事でいちばん揉めるのがここです。「いつ指摘したか」で結論が正反対になります。
| 状況 | 判定 |
|---|---|
| 間違いに気づき、リターンが打たれる前に止めて指摘した | やり直し |
| 正しいスコアだったのに、間違いだと止めた | 止めた側のフォルト |
| リターンが打たれたあとに止めて訂正を求めた | 止めた側のフォルト |
| 間違ったままラリーが終わった | 結果は有効。次のサーブまでに訂正する |
つまり「気づいたら、リターンが打たれる前に止める」が唯一の救済ルートです(2026年版 6.F)。なお、サーブを打つ前なら相手にスコアを聞いてよく、聞かれた側は答える義務があります。
Q9|妨害された/味方にボールが当たった
「ヒンダー(妨害)」と「ディストラクション(気を散らす行為)」は別物です。
・ヒンダー=選手が原因ではない一時的な出来事(隣のコートからボールが転がってきた、虫が飛んできた等)。誰でもコールでき、ラリーはやり直し
・ディストラクション=選手が原因(大声を出す、足を踏み鳴らす、パドルを不規則に振り回す等)。やった側のフォルト
・味方に当たった場合はヒンダーではありません。当たったチームのフォルトです。「味方に当たったからやり直し」は誤りです
・2人で同時に打って両方が当てたらフォルト。片方が空振りしただけならセーフで、そのあと相方が打てます
2026年版 9.C・10.C.3・10.D.2・10.E・10.F。恒久的にそこにある物(ポスト、フェンス等)はヒンダーになりません。
Q10|タイムアウト・休憩・コートチェンジ
これは審判のいる大会向けの規定です。練習会やサークルには自動的には適用されません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイムアウト | 11点・15点ゲームは2回、21点ゲームは3回。1回最大1分 |
| コールの仕方 | 声か手信号ではっきり示す。黙ってコートを離れるのはNG。サーブが打たれた後にコールしたらフォルト |
| メディカル | 1試合1回、最大15分 |
| ゲーム間の休憩 | 最大2分。ゲームごとにエンドと最初のサーブ権を交代 |
| エンドチェンジ | 1ゲームマッチとタイブレークゲームの場合、11点ゲームはどちらかが6点、15点は8点、21点は11点に達したとき。サーバーは交代しない |
| 試合と試合の間 | 10分。全員が合意すれば早く始めてよい |
2026年版 Section 21。エンドチェンジを忘れていた場合は、気づいた時点で交代すればOK。誰もフォルトにはならず、スコアも変わりません。
Q11|服装や靴に決まりはある?
ルールブックに書かれているのは、驚くほど少ない2つだけです。
・ウェアの絵柄や文字は良識にかなうものであること
・靴底は床に跡をつけたり傷めたりしないものであること(体育館ならノンマーキングソール)
・加えて、ボールの色に近い服は避けること。大会では主催者に着替えを命じられることがあります
・競技中のイヤホン・ヘッドホンは禁止(必要な補聴器を除く)
襟付きシャツの義務や色の指定など、それ以上の決まりはルールブックにはありません。なおこれらも大会向けの規定(2026年版 18.B・18.D)で、練習会に自動的に適用されるものではありません。
Q12|プレー中に帽子やサングラスが落ちた
原則としてラリーは続行です。ただし例外が3つあり、そこが実際の争点になります。
・⭕ 完全に落ちて自分側のコートに転がっている物にボールが当たった → インプレー。そのまま続けます
・❌ まだ頭に乗っている・体に触れている状態の帽子にボールが当たった → フォルト(身につけている物扱い)
・❌ ボレーの勢いで、落ちた物がノンボレーゾーンに触れた → フォルト
・❌ 落ちた物がネットや相手コートに触れた → フォルト
装備のトラブルが起きても、ラリーの途中で止めることはできません。直せるのはラリーとラリーのあいだです(2026年版 10.I・10.J・11.A.1)。
Q13|サーブで、落としたボールを打たずに仕切り直せる?
・ドロップサーブなら明確にOK。バウンドの回数と場所に制限がないので、落として見送り、あとから打っても有効です
・ボレーサーブについては、ルールブックに規定がありません。「離したら必ず打たなければならない」という条文も、「やり直しは1回まで」という条文も存在しません
・実際の制約は「スコアをコールし終えてから10秒以内に打つ」という時間制限だけです(6.D)
ネット上には「トスのやり直しは不可」という説明も見かけますが、一般プレーの条文には根拠が見当たりません。ただし審判付きの試合には「サーブの直前に片手またはパドルのみでリリースすること」という条文(20.E.1.d)があり、何度も仕切り直すと抵触する可能性があります。もめそうなら、ドロップサーブに切り替えるのが確実です。
Q14|ネット上部の白い帯に当たってから入った
インプレー。そのまま続行です。ネットの布でも、上部のロープやケーブルでも同じ。テニスのような「レット」はありません。
・サーブも同じ。ネットに当たってから正しいサービスコートに入れば有効です(2021年にレット廃止)
・ただしサーブの場合だけ、ノンボレーライン上に落ちたらショート=フォルトです。ラリー中の球は、ノンボレーラインに触れていてもセーフ
・やり直しになるのは3つの場合だけ|ネットに引っかかった/地面に垂れている部分に触れた/たるんで揺れているネットに触れた
2026年版 13.A。ネットの布=セーフ、ポスト=フォルト。この対比で覚えると間違えません(→ Q3)。
第10章|2026年のルール改正と、日本での扱い
先に大事なことを
ピックルボール日本連盟が公開している公式ルールのページは、2021年の改正までを反映した内容です。一方、世界の基準となるUSA Pickleballのルールブックは毎年更新され、2026年版が2026年1月1日から施行されています。国内の大会に出るときは、必ず主催者がどのルールを採用しているかを確認してください。この章は「世界の最新はこうなっている」という参考情報です。
2026年版の変更のうち、一般プレーヤーに関係するもの
| 変わったこと | 中身 |
|---|---|
| サーブの3条件 | すべてに「明らかに」が追加。より執行しやすくするための変更。審判付きの試合では、きわどい場合はリプレイ扱い |
| ネットポスト | 相手コートにバウンドしたあとポストに当たった場合、打った側のポイントと整理された |
| ダブルヒット | 「2回」から「複数回」に。連続した一方向の動作なら、何回当たっても有効 |
| アウトのコール | 返球しなかった場合でも「速やかに」コールすれば有効。ただし次のサーブまで待つのは不可に |
| 2球目のボール | ポケットの予備ボールが相手から見えているだけでフォルト(従来は落としたときだけ) |
| タイムアウト | 声か手信号ではっきりコールする義務が明文化 |
| サーブのスピン | 「パドルでかけるのは可、手でかけて離すのは不可」を条文に明記 |
| 車いす・アダプティブ | 専用の章を新設。車いすは身体の一部とみなす、ツーバウンドまで返球可など |
「レシーブ側でも勝てるようになった」は誤解
これはラリースコアリングを採用した試合だけの話
2026年版で「ゲームを決める1点はサーブ側しか取れない」という条文が削除されました。これを「ついにレシーブ側でも点が取れるようになった」と紹介している記事がありますが、通常のサイドアウト制では今も点が入るのはサーブ側だけです。
通常のサイドアウト制で得点できるのはサーブ側だけ、というルール自体(4.A)は変わっていません。大会が任意で採用できる「ラリースコアリング」(毎ラリー得点が入る方式・暫定ルール)では、確かにレシーブ側がゲームを決められるようになりました。
通常のサイドアウト制でも1つだけ例外があります。サーブ側にテクニカルファウルが科されるとレシーブ側に1点が入るため、それでゲームが決まることはあり得ます(22.E.1)。ただしこれは審判のいる大会の話で、普段の練習会には関係ありません。
2021年の改正(日本連盟のページに載っているもの)
・サービスレットの廃止|サーブがネットに当たってから正しいゾーンに入った場合、やり直さずそのまま続行
・ドロップサーブの導入|バウンドさせてから打つサーブが認められた
・コールのタイミング|「サービスの動作の前」から「パドルでボールを打つ前までに完全にコール」へ
※2026年版では条文の番号が全面的に振り直されました。他サイトで「4.A.7.a」のような古い番号を引用している記事は、2026年版だと別の番号になっています。この記事の番号はすべて2026年版のものです。
第11章|ルールブックには載っていないマナー
反則ではないけれど、守ると気持ちよくプレーできることがあります。初めての練習会でこれを知っているだけで、ずいぶん違います。
・迷ったら相手に有利に|セルフジャッジの大原則です。はっきり見えなかったらイン。この一言が言える人は信頼されます
・試合の前後にパドルタップ|握手の代わりに、パドルの先を軽く合わせるのがピックルボール流の挨拶です
・ボールは相手が拾いやすいように返す|遠くへ蹴ったり投げたりせず、ワンバウンドで手元へ
・隣のコートにボールが入ったら「ボール!」と声をかける|ケガを防ぐためです。逆に自分のコートに転がってきたら、遠慮なくヒンダーをコールしてやり直しましょう
・初心者と組んだら、まずはラリーを続ける|勝ち負けより「楽しかった」と思ってもらうほうが、結果的に仲間が増えます
第12章|コートで飛び交う用語集
練習会に行くと、当たり前のように専門用語が飛び交います。意味が分かるだけで、その日の楽しさが変わります。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| キッチン | ノンボレーゾーンの通称。「キッチン入った?」=ノンボレーゾーンでのフォルトの確認 |
| ディンク | ノンボレーゾーンを狙って、ネット際にふわりと落とす小さなショット。ピックルボールの中心的な技術 |
| サードショットドロップ | 3球目に、相手のキッチンへ低く落とすショット。前に出るための代表的な作戦 |
| ドライブ | 速く低い弾道で打ち込むショット |
| ロブ | 相手の頭上を越える高い球 |
| サイドアウト | 2人ともサーブに失敗して、相手チームにサーブ権が移ること |
| ラリー | サーブから、どちらかがミスするまでの一連の打ち合い |
| フォルト | ルール違反。プレーはそこで止まる |
| レット | やり直し。ピックルボールではサーブのレットは2021年に廃止された |
| ATP | アラウンド・ザ・ポスト。ネットのポストの外側を回り込んで返す華のあるショット |
| アーニー | キッチンの横をすり抜けて回り込み、ネット際で仕留める動き |
| スタック | 利き手の関係で、2人が同じ側に寄って構える陣形。上級者が使う |
| ヒンダー | 選手のせいではない妨害。コールするとやり直しになる |
| ボレー | ノーバウンドで打つこと。ノンボレーゾーンの中では禁止 |
| レーティング | 実力を数字で表した指標。2.0から5.0台まであり、練習会の組分けに使われることがある |
第13章|総確認クイズ全15問
この記事の内容だけで全問正解できます。少し細かいところまで聞くので、8問正解できればコートで困りません。間違えてもその場で解説が出ます。
まとめ|迷ったら、このページに戻ってくればいい
ルールを完璧に覚えてからコートに立つ必要はありません。4つの基本(下からサーブ・ツーバウンド・ノンボレーゾーン・11点先取)さえ分かっていれば、あとは打ちながら覚えられます。細かいところで迷ったとき、このページを開いてください。
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出典
本記事は一般財団法人ピックルボール日本連盟「公式ルール」および USA Pickleball「2026 Official Rulebook」をもとに作成しています。条文番号は2026年版のものです。ルールは改正されることがあります。大会に出場する際は、必ず主催者が採用しているルールをご確認ください。(最終更新:2026年8月)

