選んだ大きさは、このサイトの他の記事にも引き継がれます。
テレビや雑誌で「ピックルボール」という名前を見かけたことはありませんか。コートは狭く、ボールには穴が開いていて、見た目はかなりゆるやかな競技です。
ところが実際にやった人からは「思ったより汗をかいた」「気づいたら2時間たっていた」という声がよく出ます。このページを読むと、何がそんなに面白いのか、体にどれくらいの運動になるのか、そして自分に向いているかどうかが分かります。
数字はできるかぎり実測データを使い、出典と調査方法も添えました。
この記事でわかること
- 初日から試合になる理由と、続ける人が多い4つのポイント
- 1時間プレーしたときの心拍・消費エネルギーの実測値
- 何歳から始められるか、どんな人に向いているか
なぜ今、日本で増えているのか
まず現在地から見ておきます。日本の競技人口は、この1年で大きく動きました。
日本のピックルボールは、いまどこにいるのか
約3万人へのインターネット調査(2026年3月)にもとづく推計
競技人口は1年で約7倍
前の年の推計4.5万人から、およそ7倍に増えました。
名前を知っている人の割合
13.1%
10人に1人強。まだほとんどの人が知りません。
やってみたいと思っている人
1,189万人
いま競技をしている人の、およそ36倍。「知られていないのに、知った人の関心は高い」という状態です。
テニスをしている人のうち「興味がある」と答えた割合
72.5%
ラケット競技の経験がある人ほど、関心が高く出ています。
出典:株式会社ピックルボールワン「日本のピックルボール市場調査2026」(調査対象 約3万人・インターネット調査・2026年3月実施)。民間1社による推計です。公式団体による全国推計は公表されていません。
この調査でいちばん注目したいのは、認知率が13.1%しかないのに、興味を持つ人が1,189万人いることです。つまり「知られていないだけで、知った人はやってみたいと思う」という状態にあります。
テニスをしている人にかぎると、72.5%が興味ありと答えています。ラケット競技の経験がある人ほど、関心が高いようです。
※上の数字は株式会社ピックルボールワンによる推計です。公式団体による全国推計は公表されていないため、別の調査では違う数字になる可能性があります。
魅力①|初日からラリーが続く
ピックルボールをやった人がまず驚くのが、はじめて持ったその日にラリーが続くことです。これは運動神経の話ではなく、道具とコートがそう設計されているからです。
◆ ボールが失速する設計なので、打ち返す時間ができる
使うのは穴あきボール(プラスチックでできた、26〜40個の穴が開いたボール)です。空気が抜けるので飛んでいる途中で失速し、テニスボールのように伸びてきません。構える時間ができるぶん、初心者どうしでも打ち合いがつづきます。
◆ パドルが短いので、空振りしにくい
ラケットではなくパドル(板状の道具。柄が短く、面はテニスラケットより小さい)を使います。腕の延長に近い長さなので、面の位置が感覚とずれにくく、当たらないということ自体が少なくなります。
◆ コートが狭いので、走る距離が短い
コートはバドミントンのダブルスと同じ広さで、縦も横もテニスコートの半分ほどです。2人で守るので、動く範囲はそれほど広くありません。
◆ その結果、最初の1時間で楽しさまで届く
他のラケット競技には「ラリーが続くまでの練習期間」があります。テニスなら、ラリーが続くようになるまで数か月かかることも珍しくありません。その間はボール拾いの時間のほうが長く、そこで辞めてしまう人がたくさんいます。
ピックルボールはそこがほぼありません。初日から打ち合えるので、面白さを味わう前に脱落する、という形になりにくいのです。
体験会では、説明を10分ほど聞いて、そのまま試合を始めるということも起こります。ルールは打ちながら覚えるほうが早く、実際そのやり方で成立してしまいます。
競技そのものの説明は ピックルボールとは?3分でわかる入門ガイド で図解しています。
魅力②|年齢も体力も違う相手と、対等に勝負になる
20代と60代が同じコートで本気の勝負になる。これがピックルボールのいちばん特徴的なところです。気を使って手加減する、という意味ではありません。
◆ 強く打つと不利になるルールが2つある
ひとつは2バウンドルールで、サーブとその返球は、必ず1回ずつバウンドさせてから打ちます。ネット前に走り込んで叩く、という一番わかりやすい強さの出し方が最初から封じられています。
もうひとつがノンボレーゾーン(通称:キッチン。ネット手前にある、ノーバウンドで打ってはいけないエリア)です。ネット際で強打ができないので、ここではふわっと落とす球の我慢比べになります。
◆ だから、力より配球で決まる
結果として、勝ち負けを分けるのは球の速さではなく、どこに落とすかと、どこで我慢するかになります。運動部だった人が、はじめて数か月のシニアに競り負けることも普通に起きます。
ネット際のルールは ノンボレーゾーンのルール徹底解説、我慢比べの打ち方は ディンクの打ち方完全ガイド で解説しています。
魅力③|自然に会話が生まれる
ピックルボールは基本がダブルスです。コートが狭いので、味方とも相手とも距離が近くなります。
1ゲームは10〜15分ほどで終わり、多くの練習会ではそのたびに組み合わせを変えます。2時間の練習会に出ると、黙っていても6〜8人と打つことになります。
うまい人と組んでも試合が成立するので、初参加でも「足を引っ張った」という気持ちになりにくいのも大きいです。走らされ続けることがないぶん、プレーの合間に会話が生まれます。
◆ 声を出す場面が、はじめから用意されている
サーブのたびに「0-0-2」のようにスコアを声に出すルールがあります。間違えれば誰かが直してくれるので、初対面でも黙ったままにならない仕組みが競技の中に入っています。
ダブルスなので、点を取れば自然と味方と目が合います。ミスをしても2人で守っているぶん、一人で背負う感じになりません。
週に1回通う理由が、運動ではなく人になっていく。続いている人の話を聞くと、たいていここに行き着きます。
魅力④|始めるのに大きなお金がいらない
初日に必要なのは、動きやすい服と、運動用のシューズだけです。パドルは体験会や施設で貸してくれることが多いので、最初から買う必要はありません。
始めるときにかかるもの
服装:動きやすいものならなんでもOKです
シューズ:運動用のもの。屋内の体育館では室内用が必要です。持っていなければ、まず借りられるか聞いてみてください
パドル:買うなら5,000円前後から。1万円前後のものなら、後から後悔することはありません
ボール:1個500〜1,000円ほど。最初は買わなくて大丈夫です
参加費:公共の体育館を使う練習会なら、1回数百円〜のところもあります
費用の内訳は 必要な道具と費用まとめ に、パドル選びは パドルの選び方(40秒診断つき) にまとめています。
健康効果|1時間プレーすると、体に何が起きるか
「ゆるそうに見えるけど、運動になるの?」というのが、いちばん多い疑問だと思います。計測した研究がいくつか出ているので、数字で見てみます。
1時間プレーすると、体はどうなる?
中高年のレクリエーションプレーヤーを対象にした計測データ
プレー中の平均心拍
約111拍/分
年齢から計算した最大心拍のおよそ70%。運動の強さでいうと「中〜高強度」にあたります。
中〜高強度だった時間の割合
70%以上
コートに立っている時間のうち7割以上。加速度計で中強度に分類された時間は、シングルスで約80%、ダブルスで約50%でした。
1回のプレーの消費エネルギー
約350kcal
携帯型の測定器をつけて60分のプレーを計測した数値(実測353.5kcal)。早歩きや軽いジョギングを1時間続けたときと同じくらいです。
ラケット競技のなかでの位置
※テニスと卓球はレクリエーションでのプレー、バドミントンとスカッシュは競技レベルの研究値をもとにした、おおよその位置づけです。バーの長さは目安で、正確な比率ではありません。
出典:Dalleck ら(2018)/Webber ら(2022)/Casper ら(2023)。いずれも中高年を対象にした小規模な研究です。運動の強さには個人差があります。
プレー中の平均心拍は約111拍/分。これは年齢から計算した最大心拍のおよそ70%にあたり、運動の強さでいうと中〜高強度に入ります。散歩より上です。
しかも一瞬だけ上がるのではなく、コートにいる時間の70%以上がこの範囲でした。加速度計で測った研究では、中強度に分類された時間がシングルスで約80%、ダブルスで約50%でした。
消費エネルギーは60分のプレーで約350kcal(実測は353.5kcal)。早歩きや軽いジョギングを1時間続けたときと同じくらいです。
◆ 週に2回で、推奨されている運動量に届きます
高齢のプレーヤーを対象にした調査では、1回のプレーで中〜高強度の活動が68分以上積み上がったという報告があります。心拍が上がっている時間は最大86分でした。
健康のために推奨される運動量は、WHOのガイドラインで中強度なら週に150〜300分とされています。つまり週に2回コートに立てば、それだけで足りてしまう計算になります。
走ることが少ないのに、この時間が積み上がるのは、止まっている時間が短いからです。ラリーが続くぶん、動き続けることになります。
数字を読むときの注意
上の数字は中高年を対象にした小規模な研究が中心です。年齢や体格、プレーの強さで大きく変わります
「ピックルボールをすると◯◯が治る」といった効果は、確かめられていません。言えるのは「続けやすい強さの有酸素運動になっている」ところまでです
ラケット競技の経験者が感じる違い
テニスをしている人の72.5%が興味ありと答えた、という調査結果を先に紹介しました。実際に持ち替えたとき、何が同じで何が違うのかを整理しておきます。
◆ テニス経験者|強打が効かないところでつまずく
打点の取り方やフットワークはそのまま活きるので、最初の1時間はかなり有利です。ただし勝負どころはネット際の我慢比べで、強く打つほど相手に叩かれます。
速い球を打てることが、そのまま強さにならない。ここに慣れるまでは、はじめて数か月の人に負けることもあります。
◆ 卓球経験者|面の感覚がいちばん近い
パドルは卓球のラケットを大きくしたような形で、握り方も回転のかけ方も感覚が近いです。違いは、足を使って自分から球のところへ入る量が増えることです。
◆ バドミントン経験者|コートの広さが同じ
ピックルボールのコートは、バドミントンのダブルスとまったく同じ広さです。距離感がそのまま使えるので、立ち位置で迷いません。
違うのは球の落ち方で、シャトルのように急には落ちません。下がりすぎると打点が後ろになりすぎるので、そこだけ調整が要ります。
◆ ソフトテニス経験者|下からの球出しが活きる
サーブを下から打つ競技なので、ソフトテニスで身についた下からの感覚は素直に使えます。ボールが軽くて失速するぶん、力を抜いて運ぶ球のほうが安定します。
どの競技から来た人にも共通するのは、大きく振らないほうが安定するということです。経験者ほど、ここで一度考え方を切り替えることになります。
何歳からできる?年齢のリアル
ピックルボールは、幼児から70代まで、幅広い年齢の人がプレーしています。実際にわたしの周りでも、子ども、若い人、60代の人が同じ練習会に来ています。
◆ 小さな子どもでも打ち合いがつづく
球が遅く、コートも狭いので、小学生でも大人と打ち合いがつづきます。年齢の下限というルールはありません。
ただし、パドルの重さだけは体格に合わせてください。一般的なパドルはおおむね200〜240gで、小さな子には重いことがあります。
◆ 60代・70代でも続けられる
60代・70代が中心の練習会は珍しくありません。走る量が少ないので、膝や腰に不安がある人でも続けやすい競技です。
◆ 女性が始めやすい競技でもあります
筋力で押し切る場面が少ないので、男女が混ざったダブルスがそのまま成立します。練習会でも男女を分けていないところがほとんどです。
こんな人に向いています
ここまで読んで、自分に合いそうかどうかを判断できるように、向いている人をまとめておきます。
向いている人
- 運動から何年も離れていて、いきなり走るのはきつい人
- テニス・卓球・バドミントンの経験がある人(感覚がそのまま活きます)
- 家族や、年齢の違う人と一緒に体を動かしたい人
- 運動の時間を短く区切りたい人
- 一人で運動を続けるのが苦手な人
とくに、運動から何年も離れている人にはおすすめです。走れなくても、十分に楽しめるからです。
やってみたくなったら、この順番が早いです
1. 近くの体験会をさがす。全国のピックルボールコートを探す から地域ごとに見られます
2. 動きやすい服と運動用のシューズだけ持っていく。パドルとボールは貸してもらえることがほとんどです
3. 面白かったら、自分のパドルを買う。40秒の診断で、合う1本の目安が出ます
最初の1回は、うまくいかなくても大丈夫です。ラリーが続くところまでは、その日のうちにたどり着けます。
はじめの進め方は 始め方完全ロードマップ にまとめています。
よくある質問
Q1|運動が苦手でも楽しめますか?
はい。ボールが遅く、コートも狭いので、球技が苦手だった人でも初日にラリーが続きます。空振りしにくいのは、パドルの柄が短くて面の位置がわかりやすいからです。
Q2|どれくらいの運動になりますか?
中高年を対象にした計測では、平均心拍が約111拍/分(年齢別の最大心拍のおよそ70%)、60分のプレーで約350kcalでした。早歩きや軽いジョギングを1時間続けたときと同じくらいの強さです。
Q3|ダイエットの効果はありますか?
60分で約350kcalなので、食事を変えずに劇的に痩せる運動ではありません。ただし中〜高強度の時間が長く、週に何度も続けやすいので、運動量を積み上げやすい競技ではあります。
Q4|何歳からできますか?
年齢の決まりはありません。小学生でも打ち合いがつづきますが、パドルはおおむね200〜240gのものが多いので、体格に合った重さかどうかだけは確かめてください。上の年齢に上限はなく、60代・70代の練習会も普通にあります。
Q5|テニスの経験は有利ですか?
有利です。ただしテニスと同じ強打で押し切れる競技ではないので、ネット際でふわっと落とす球の我慢比べに慣れるまでは、初心者に負けることもあります。
Q6|ケガが心配です
いちばん多いのは転倒です。頭上を越える球を後ろ向きのまま追わないこと、その場所に合ったシューズを履くこと(屋内の体育館なら室内用)、この2つでかなり減らせます。
Q7|1人でも参加できますか?
練習会や体験会は1人参加が前提のところが多く、その場で組み合わせを決めます。相手を連れていく必要はありません。
Q8|膝や腰に不安がありますが大丈夫でしょうか
コートが狭く走る距離が短いので、ラケット競技のなかでは負担が小さいほうです。ただし急に止まる動きはあるので、痛みがある場合は医師に相談してから始めてください。この記事は医学的な助言ではありません。
Q9|どんな服装で行けばいいですか?
動きやすいものならなんでもOKです。シューズは運動用のものを用意してください(屋内の体育館では室内用が必要です)。ランニングシューズは横の動きに向いていないので、足首をひねりやすくなります。
Q10|どのくらいで上達しますか?
ラリーが続くところまでは初日です。試合の駆け引きが分かってくるまでは、週1回で2〜3か月というのが体感的な目安になります。
まとめ
ピックルボールの魅力を3つにまとめると、初日からラリーが続くこと、年齢や体力が違っても勝負になること、1時間できちんと運動になることです。
日本ではまだ13.1%の人しか名前を知りません。知っている人が増えるほど一緒に打つ相手も増えるので、いま始めるのは悪くないタイミングです。
次に読む
ピックルボールとは?3分でわかる入門ガイド|ルールと道具をまとめて知りたい人へ
始め方完全ロードマップ|最初に何をするか
全国のピックルボールコートを探す|近くでできる場所をさがす
よくある質問30選|費用・ルール・始め方の疑問
出典|競技人口・認知率:株式会社ピックルボールワン「日本のピックルボール市場調査2026」(約3万人・インターネット調査・2026年3月/民間推計)。運動強度・消費エネルギー:Dalleck ら(2018)、Webber ら(2022)、Casper ら(2023)。ルールの記載はピックルボール日本連盟の公式ルールに準拠しています。

